ブロック(旧 Square)創設者のジャック・ドーシーと、シコイア・キャピタル(Sequoia Capital)のパートナー、ロエロフ・ボタ(Roelof Botha)は、3月31日に共同で長文記事《階層制から知能体へ(From Hierarchy to Intelligence)》を発表した。記事は、ブロックが「古代ローマの軍隊に起源をもち、今日まで続く」『ピラミッド型の階層制』を打ち破ろうとしていると宣言している。伝統的な中間管理職をAIで置き換え、企業を「ミニ型AGI(汎用人工知能)」へと作り替える狙いだ。
(前情報:Jack Dorsey 大幅にブロックの従業員を半減させ、AIに賭ける:あなたの会社は次のXYZ株価が23%跳ね上がる)
(背景補足:Jack Dorsey:世界のコミュニケーションを再構築した男。なぜビットコインに夢中なのか?)
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多くの企業が人工知能(AI)を従業員の生産性を高める「副操縦席(Copilot)」と見なしている一方で、フィンテックの巨人ブロックは、より徹底的な革命に向けて準備ができている。3月31日、ブロックの創設者ジャック・ドーシーと、シコイア・キャピタルのパートナー、ロエロフ・ボタが共同で、タイトル《階層制から知能体へ》という衝撃的な記事を発表し、ブロックがAIを用いて2,000年の歴史を持つ企業組織の枠組みをどのように作り替えるのかを明らかにした。
記事の冒頭では、組織構造の歴史が振り返られる。古代ローマ軍の「統制範囲(Span of control)」、プロイセン軍の「参謀部(中間管理の原型)」から、19世紀のアメリカの鉄道会社が発明した近代的な組織図までだ。2,000年の間、組織規模が拡大するにつれ、企業は「管理階層」を増やすことで情報を伝え、行動を調整するしかなかった。これは避けられず、その結果として意思決定が硬直化し、スピードが落ちてしまう。
ドーシーとボタは、過去にはSpotify、Zappos、Valveなど、シリコンバレーのトップ企業も、管理をフラットにする試みをしてきたが、結局は規模の拡大とともに従来の階層制に戻ってしまうことが多かった、と指摘する。理由は次のとおりだ:
「過去には、人間による情報ルーティング(Information routing)を代替できる仕組みが存在しなかった。」
しかし今、AIがすべてを変えた。ブロックは、AIによって初めて、企業全体の運営を維持する「ワールドモデル」をシステムが保持できるようになり、それにより、中間の管理者が上下で情報を伝える従来の職能を完全に置き換えられるようになると考えている。
企業が「ミニ型AGI」のように機能するために、ブロックは新しい4つの構造を提示する:
このようなモデルでは、従来、プロダクトマネージャーが主導していた「プロダクト・ロードマップ」は淘汰される。システムが解決できない顧客の本当の痛点は、自動的に研究開発チームの次の「やること(待機タスク)」として生成される。
AIシステムが部門をまたぐ調整と情報伝達の仕事を引き受ける以上、従業員の役割も大きく変わる。ドーシーは、今後の従業員はシステムの「エッジ(Edge)」に位置し、AIが到達できない領域――直観、倫理判断、高リスクの意思決定、人間関係の信頼――を扱うことになると述べている。
今後のブロックの組織は、以下の3つの主要な役割に簡素化される:
ドーシーは記事の末尾で、ブロックが現在この転換の初期段階にあり、その過程で必ず痛みや失敗に直面するはずだと率直に認めている。しかし彼らは、企業がAIを「人員削減と利益の最適化」だけのために導入するなら、最終的にはより賢い競合に飲み込まれてしまうと確信している。本当の変革とは、AIに企業の中核となる壁(コアの防壁)を明らかにさせ、強化させることだ。
ブロックにとって、その壁は数百万の消費者と加盟店が織りなす「経済の地図(エコノミー・グラフ)」によって形作られている。この長文記事はブロックの社内宣言であるだけでなく、世界中の企業に向けて重大な命題を投げかける。機械が管理と調整の能力を持ったとき、人間は企業の中での価値をいったいどう再定義すべきなのか?